2008年07月14日

不安が生みだすモノ ある利用者の話

タイトルそのままの話です。


2ヶ月前から、急に幻覚・幻聴が見られるようになった方がいます。

認知機能はほぼ自立。
ADLに支障がある方で、介護ベッドやデイサービスの利用がなければ
実生活に困難が起こりうる状態。
しかし、現在の認定審査では、なかなか介護に引っかからない
・・・・・そんな利用者です。

認定更新の都度、
変更申請をかけているため、毎回6ヶ月の有効期間。
それでも、介護認定にならない事があり
支援と介護を行ったり来たり。


5月頃より、訴えに変化が見られました。
主に、家の周りを男の人がうろついている・・・・・という訴えが多く
見張られている、今に見てろと言われる
庭に良からぬ物を置いていかれる。
寝室に入ると、誰かがカセットをオンにして変な音楽を聞かせる。

その他は、どこも変わった様子はない。
短期記憶も低下していない。
認知症の周辺症状・行動障害
一切ない。
でも、その幻覚・幻聴に関しては
「聴こえるし、見えるんだからしょうがないよな。」
と、自分で言い
家族に否定されると、真っ向から反論していた。

本人・家族と相談の上
精神科受診に踏み切った。
私はADL状況から、あまり強い薬は使用しない方向でお願いしたいと病院に頼んだ。

認知症検査やMRI
検査所見は、なかった。

主治医が質問する。
「何か心配事でもあるんじゃないの?」

確かに、心配事はあった。
自分は本当にこのまま息子夫婦と暮らしていていいのか?
出て行ったほうがいいのではないか?
なんとなく、折り合いが悪い関係のままでいいのか?
家を継ぐのは、誰になるのか?
誰に、面倒を見てもらうのか?

そこへ、届いた変更申請後の認定結果。
却下通知だった。支援2。

介護ベッドがあってこその自立だった。
それがなければ、起き上がりも、自宅内を動く事も、トイレも介助がいることになる。
全身バランスの悪い身体で、転倒は頻繁だった。


いろんな心配・不安が昂じて
幻覚・幻聴という心身からの信号が出た。


不安は、自分自身の中で昇華できるうちはいい。
でも、自己処理が困難になるほど
人の気持ちを襲う事がある。
解決できない不安は、闇を作る事もある。

高齢になれば、なおの事
その思いに押しつぶされる事が増える。

だから、誰か第3者との関係性の維持や
気持ちを表出できる関係の保持
気分転換など出来る、馴染みの関係・楽しい時間
そういったものは、必要になってくる。

人は独りでは生きていけない。
誰でも、独りで生きてきた人はいない。
どんな人でも、何かしら誰かに何かを聞いたり、話したり
そんな経験を持っているはずだ。


今の家族と、仲良く暮らして行く事が出来るのか?
それは、利用者自身と家族、双方の問題だった。

どちらも、この生活を続けていくつもりがない。

家族の歴史は、根深い。
簡単に解決が出来るものばかりではない。
今必要な支援が、気持ちが阻んで出来ない事が多々あることを
今までもたくさん見てきた。


何をどう支援していくべきなのか?

継続可能な暮らしがあるのに
その場から離れる意向を、どう繋ぎ止めればいいのか?


家族は難しい。




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タグ:幻覚 幻聴 MRI
posted by 木下 小櫻 at 00:02 | Comment(0) | 不安を呷るモノ

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