2009年01月19日

周辺症状を抑える

私の事業所で担当する認知症の方で
「あんな風に、ボケられたらいいよね〜。」
と、関係者一同が本気でそう思う方がいる。
何度か、このblogにも登場している。

何が?
まず、誰からも愛され
いつもニコニコして
微笑ましい親子関係を維持し
近隣住人が忙しい家族に代わって朝ごはんをあげている。
何度も同じ話を繰り返すその方に
いつも付き合って、お茶のみしてくれている。

それは、関わるどの人もが
仕方なくではなくて、率先して行っているのだ。

その、認知症の方は
実はかなり進行しているアルツハイマーである。
最近では、遠い記憶までもが失われつつあり
食事の誤嚥もかなり多く、頻繁に熱発する。
何かを取り違えると、暴言を吐く事もある。

でも、みんなに愛されている。

息子と2人で買い物をし、買い物袋をひとつずつ持って帰る。
忙しい息子の仕事の為に、生活の場は
自宅・有料老人ホーム2ヶ所・通所介護を行ったりきたりする。
誰の事も覚えていないが、
みんなの顔を見ると
「あ〜、みんないたなぁ。良かった〜。」
と、満足していく。
話を聴いてくれたり、少し親切にしてくれる人を
すべて親戚だと思い、近頃じゃ「親戚」と呼ばれる彼の大事な人は鰻上りに増えている。

毎晩深夜に起きてきて、電気をコウコウと点けて
息子の頭をなでて行く。
最近では、頭だけではなくて顔もたくさんな撫でていく。
息子は本当は起きてしまっているが、寝ている振りを続ける。

「そんな事してるな!」
絶対、そんな事は言わない。

たぶん、彼は中核症状とされるものはだいぶ進行していると思われる。
身体機能的な部分も、誤嚥・熱発が多い事から
衰えが進んでいるように思われる。
それでも、落ち着いていられるのは
周辺症状が抑えられているからだと、心底そう思う。

解らない事があれば、暴言を吐く事もあることより
幸福感の強い、とにかくニコニコしている認知症とも違うと思う。
慣れている生活の場であれば、不穏にならないが
やっぱり初めての場所は不穏がでる。

多くのアルツハイマーに見られる症状は兼ね備えているのにも関わらず、
いつもニコニコして、穏やかに過ごし
みんなに愛されている。
通所介護でも、他の利用者で同じ事を繰り返し訴えれば
「何度も同じ事言って・・・・・」と、周りの利用者から話が出ることはよくある事なのだが
彼の場合は、そんな事も言われない。

ひとつは、人徳と言うものもあるだろう。
あの醸し出している雰囲気って何だろう。
更には、たぶん今までの生き方が大きく反映されていると思われる。
近所の方たちに、あれほど守られている認知症の方は珍しい。
そして、息子の性格・介護に対する姿勢・親への愛情。
これは、おそらく大きい。
父親である彼を、非常に大事にしている事がたくさん伝わってくる。
きっと、それを周りのみんなが感じ取って
あの親子の介護関係を支えようと
知らずの間に、円陣が出来ているように感じる。
もちろん、自然と真ん中にいるのは、他でもない本人。
父親を大事にしている想いは、父である彼にもきちんと伝わっている。
だから、周辺症状は限りなく抑えられている。

あの生き方や
親子関係は
見習うべきだと、いつも思う。

何程、我々専門職が努力しても
家族にはなれません。

だから、家族が家族であるための支援が必要だと感じる。
家族が機能している場合は、そのまま見守ればいい。
でも、残念ながらそうではない事のほうが多い。
これは、現実である。

利用者が、利用者らしく、
いつも安心して過ごせるために
家族支援って、やっぱり必要だと思います。

家族の為の調整ではなく
利用者がいつまでも、大事な家族であるために

彼ら親子を見習って
明日も、仕事をしたいと思います。





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posted by 木下 小櫻 at 00:53 | Comment(0) | 認知症

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