2008年06月06日

「死人に口なし」

入院治療の後、高齢である事もあり
それまでの生活がほぼ自立であったのにもかかわらず
ADLが低下したり、認知症が進行
実際に多く起きている事だ。

私が担当するケースも、入院後同様の状態になり
介護者が日中不在である事と
出来る限り在宅で、今までどおりの生活をさせたいとの意向で
短期的に2〜3ヶ月ほど、リハビリ目的にて施設入所をされている方がいる。

その利用者が入所されてまもなく
その施設のケアに不可解な点があるという情報を得た。
心配しながらも、徐々にADLも改善が見られ
何より昼夜問わず眠り続けることがなくなったと聞いており
介護者がほぼ毎日のように面会にも行っている事から
今少し、大丈夫かな?と思っていた。


介護者とは、時折電話で状況についての話をしていた。
その際には、上記のような改善されつつある話のみで
とにかく、「タイミングが良くて良かった。」との話ばかりだった。


ある日、同じような電話連絡のあと
ちょっといつもと違う聞き方をしてみた。
「何か、ご本人から施設に対する要望など出ていませんか?」
すると、介護者が笑った。
「元気になったからね、少し我儘言うんですよ。」
介護者はあくまで我儘と思っているようだった。
「?」
何か引っ掛かった。
「例えば、どんな?」
「しっかりしてきて、気持ちもはっきりしてきたからかな?
 あれをしてくれないとか、頼んでも聞いてくれないとか、
 いろいろ言うんですよ。
 でね、母ったら職員さんに向かって“鬼!”って言ったんだって。
 もう、変な事言わないで!今、いられなくなったら困るでしょ!
 って、言い聞かせているんですよ。」

・・・・・悪い予感は、やっぱり悪い方向へと動いた。

「いや、それ、我儘じゃなくて、なかなか要望を聞いてもらえてない
 んじゃないの?リハビリの時ではないんでしょう?」
「いや、そんな、そんな全然そんなんじゃないんです。」
「あ、でも、要望はきちんと挙げた方がお互いのためですから。」
「そんな、とんでもない。大丈夫です。母の我儘です。
 置いて貰っているだけで十分です。」
「だってそれじゃ、ご本人が我慢しているんでしょう?」
「ん〜〜〜、トイレ行きたくても、いけなかったりとか・・・・・
 そうそう、この前ね、ホールで字を書く練習していたんですよ。
 そしたら、母なんて書いたと思います?
 “死人に口なし”ですよ?
 もう、なんて事書くの〜?って。
 お願いだから変な事言わないでよ〜って言っちゃいました。」


・・・・・それは、言いたい事も、頼みたい事も
何も言えてない、もしくは聞いてもらえない・抹消される事ではないのか?

入所後に情報をいただいたこともあって危惧する。

我慢しながら生活する事は、心身に影響を与える事
些細な事でも、改善して欲しい事は言っていく必要がある事。
直接は難しいから、何か気になる事があれば私に言う事。
近い内に、私も様子を見に行く事。

それらを、介護者に話した。

紹介している以上、私にも責任がある。
もし、本当に利用者に不利益があるなら
改善を求めていく他ない。


利用者や介護者が
本心や訴えについて口を噤んでしまう理由。
単純にそんな事言ったらいけない、と思うのかもしれないし
関係性を悪化させて、気まずくなるのも嫌だと思うかもしれない。
何か言ってしまって、風当たりがきつくなると、思うかもしれないし
その事が原因で、利用が制限・退所を迫られる・・・・・と、思うかもしれない。

利用者から、何か要望や苦情を呈するときというのは
余程、考え抜いて、勇気を必要とする事のように思う。

だから、私たちは
いつでも余裕を持って話を聞ける雰囲気を持っていなくてはならない。
「また、今度」「ちょっと時間が」
そんなものは、もっての外だろう。

どんな事でも話す事がいつでも出来る相手でなくてはならない。

そして、利用者・介護者が我慢するような
そんな図式は、早急に改善すべきである。


事実関係は不明だが
はやくどんな状況であるのか確認したいと思う。





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posted by 木下 小櫻 at 18:34 | Comment(0) | 介護支援専門員

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