2012年02月13日

[ 「利用者本位」と介護事業者の苦悩

 平成24年度介護保険改正は、「利用者不在」の内容でしかないと思っています。

 今回の改正内容を見て一体誰が喜ぶのでしょうか?議論の中心も、サービス提供事業者が事業所として存続するために、介護報酬と人件費等の収支を見据えたものとなっています。実際に、もともと介護事業は経営が芳しくはありませんから、サービス提供事業者がそこを中心に考えてきても仕方がないとも思います。

 でも、忘れないで欲しいのです。私たちはいつだって「利用者本位」であること。利用者が持てる力を引き出し、利用者が望む生活の実現に向けて、利用者にいちばん寄り添って支援する存在であることを。

 居宅介護支援事業所も、訪問介護事業所も、通所介護事業所も、みんな現場は「利用者本位」であることを望んでいます。しかしながら、事業所存続を掛けて、法人は、経営者は、収支のすりあわせをして、利用時間を調整してきます。

 一体、45分の支援で何の生活支援が出来るのでしょう?欧米の介護保険を真似しようとしているのでしょうか?ただ、牛乳とオートミールを出すだけの食事支援をこの日本で行えとでも言うのでしょうか?

 7〜9時間の通所介護の時間に延長されて誰が喜ぶのでしょう?
 確かに認知症などで自宅に1人でいる時間が心配な利用者もいます。家族が帰ってくるまで利用できれば、これほどありがたいことはないかもしれません。
 ただ、よく考えてみてください。
 送迎時間を除いて、例えば9時から16時半まで通所介護を利用したとします。我々、現役世代の就労時間と大差ありません。高齢者の体力を考えていますでしょうか?ここ雪国では、真っ暗で寒い自宅に帰るわけです。凍結もします。ブルドーザーが除雪したあと、自宅前はブルが残していった山でカチカチになります。その除雪も通所介護事業者が行なえば、ますます帰宅時間は遅くなります。そもそも、労働基準法に違反しませんか?

 今回の改正ほどひどいと思ったことはありません。
 しかも、次期(平成27年度)改正までの間に、ケアマネジメントの質の向上と謳い、ケアプランの様式の変更を検討されていると聞きます。しかも日本介護支援専門員協会が主体でケアプラン1票と2票の間に、ケアプラン1.5票なるものを作成し、しかもそれが治療モデルだとも聞いています。
 
 何故、これまでICFの考え方を周知し、利用者の生活に着眼し、望む暮らしの実現をと目指し続け、遅れながらもようやく定着しつつあるのに、予防プランでさえ利用者の生活主体の考え方に定着しつつあるのに、何故いま治療モデルを引っ張り出してくるのでしょうか?
 
 この24年度改正も、まるで医療の下請けのようです。医療報酬が変わるから、在院日数を短縮しなければ収益が減るから、ベッド数を削減しないと報酬が減るから、外来リハの日数が減るから・・・だから、あとは介護で請け負いなさい、少ない報酬で・・・そんなようにしか見えません。

 震災後、東北3県は特養、老健は未だにオーバーベッドで展開しています。高額な有料老人ホームは乱立していますが、少ない年金では到底利用も不可能です。本当に地域での暮らしが困難になった人ほど施設利用が難しくなっています。

 在宅サービスが充実し、利用限度額の拡大がなされれば、在宅で頑張れる利用者も増えるでしょう。でも、今回のような改正内容では無理です。
 震災後、生活不活発病が周知されるようになりました。この事からも、なにより「いつもの暮らしの維持」「その人らしい暮らし」「住み慣れた場所での暮らし」が何程大事なのかが分かると思います。
 
 医療の荷重を負い、治療モデルへと逆行するのだけは避けていただきたいと、強く願います。
 答申が出たということは、これ以上は何を言っても変わらない事だと解っていますが、どうぞ現場の声を集約して、介護保険の理念が歪曲しないようにして下さい。

 すべては、全国に暮らす利用者のために。




小櫻の独り言


「ケアマネジメント・オンライン」のアンケート(平成24年度改正に関するケアマネジャーの意見)に答えてみました。
で、最後のフリーワードに思いの丈を、カチカチカチカチ・・・キーボード叩いたら、

「400文字までしか送信できません」

・・・400文字で、この改正に関する思いを語れるか!!
(厚生労働省のメールフォームも、1000だか2000文字だったか少ない。かつて、何回にも分断してメール送信した記憶が・・・)

と、結局blogにアップする羽目に。

出来るだけ世論を動かせる機関に知って欲しいんだよ!
だって、私は何かを動かせるような大きなパイプもなければ、職能団体のようなところともまったく繋がりがないのだから。



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posted by 木下 小櫻 at 02:02 | Comment(2) | 介護支援専門員
この記事へのコメント
ケアマネ不要は賛成!
家族の間に入り込んですごく邪魔です!
ケアマネさんの長年続く世間話だけに辟易して利用者と家族の仲が割れます。
ケアマネさんは利用者がお愛想で世間話に乗ってても気がつかないので、利用者がケアマネさんの対応に疲れています。
ケアマネさんは利用者の話だけ聞いて帰られるので家族からの利用者本人の健康面の悩みなど無視されます。

世間話よりこれからの健康面の心配があるので端的で的確な回答が欲しいので医療スタッフが来てくださったほうがすごく安心します。
ケアマネさん方ってすごく高飛車なので不快です。驚くほど偉そうでした。

福祉機器業者と結託するから業者が機器説明を省く始末。話にならないです。頻繁に来られるケアマネさんへの対応に本当に疲れてしまいます。
Posted by at 2012年03月14日 00:27
すみません。しばらくblogを開いていませんでした。
貴重なご意見ありがとうございます。
「不要論」の声が上がってしまう実情があることも分かっているつもりです。
だから、本来私たちは、国や保険者にばかり求めるのではなく、自分たちが自分たち自身でスキルや資質を上げていかなくてはならなかったのだと思っています。
何故、医師や看護師はいつしか一人前として独り立ち出来るのか?
それは、医師は医師の、看護師は看護師の、ある一定レベル(しかも高いレベル)の到達点へと先輩は教育しようと、後輩は目指そうとします。
当時、そうだったのに、何故今の職種ではそれが上手くいっていないのか?しかも、12年間も。
いろんな意味で検証は必要です。
ただ、生活の視点を置き去りには出来ません。生活者に寄り添うのですから。私たちは。
その中に、当然ある程度の医療面の知識も持ち合わせていた方がいいでしょう。
でも、ケアマネジャーは万能ではないです。
世間話をしていくケアマネジャーが良いとは言いません。
医療的な判断が必要な利用者には、医療系のサービスを利用できるようにすれば良いのではないでしょうか?
その中で、適切なマネジメントを持って、その利用者に関わるすべてのスタッフが、もっともその人らしく暮らすことが出来るように情報を共有して支援意当たっていければ良いのではないでしょうか?

そんな風に思います。
Posted by 木下 at 2012年04月14日 02:48
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