2010年02月11日

ココで生きて、ココで死にたい…

「この土地に生き、この土地で最期を迎えたい。
 この土地の魂を、最期まで貫きたい。」


要介護者2人暮らし

医療依存度が高く、以前の手術・術後の治療から身体に重大な後遺症を残し、身体障害者手帳を所持。
いわゆる医療ミスとの指摘も受け、今なお根強い医療不信を抱える妻。

そして彼女を支える夫は、
彼女よりもADLに不安を抱え、軽度の認知症も発症している。

ここ数年、何度となく危機的状況を迎え
その都度状況に合わせた緊急対応を行い、数名の主治医や地域の支える人々との連携を重ねてきた。

子どもたちは、以前より同居を希望し、関東への引っ越しを希望。
最近では、それまでこの要介護者夫婦を見守ってきた、知人・友人・近隣・親類…各医療機関・自治体関係者
そして生活を支えている、サービス事業者
皆が、「2人暮らしは限界」と、

気付けば、「ココでもう少し暮らせそうだね。」

そんな事を言っているのは、私ひとりになってしまった。


…私は、甘いのだろうか?
…私の、見極めがまずいのだろうか?


この利用者夫婦は、現実見当識に欠けているわけではない。
いつも、揺れている。

子どもの言うとおりに、関東へ引っ越した方がいいのだろうか?
自分たちは、自分たちの力で、出来るだけ人に迷惑はかけずに生きていきたい。
でも、歳をとって、いろんな人に支えられて、こうやって生きていくのだなぁと思った。
人の手が、こんなに有難い事で、そうやって生きる事は恥ずかしい事ではないと思えるようになった。
子どもの言うとおり、同居すれば心配はないと思う。
でも、この土地で生きて、この土地で死んでいきたい。
この土地に生まれたものとして、この土地の精神だけは譲れない。
自分たちは、どちらかがいなくなったら、一人では生きていけない。

2人でこの土地にいたい。


この土地の魂とは、
歴史あるこの土地に、昔から継承される精神で、
今現在、若干現代版に改良されながらも、自治体ならではの児童憲章として小中学生は暗唱し、教育の現場でも生かされている。


特に、高齢の方には時代が近いだけに
根強く息づいているものである。

この精神を、忠実に守っているような利用者夫婦。


現実の生活を見る上で、
もし私が第3者であったなら、「もう2人暮らしは限界。」と言ったかもしれない。

私がいまなお、その言葉を言わないのは、

「利用者夫婦の強い意向であること」

「生活の状況について、不安な点が多く見られるが、意向の尊重が優先されないほどの危機的状況にはまだなっていない。」

「そして、同居を望む子どもたちが
口先ばかりでなく、いつでも受け入れ態勢を整えていてくれている事。」

「心配しながらも、地域をはじめ、関係者が支えてくれている事」

そして、毎月の訪問の中で、シーズン毎位に意向の確認をする。
「もう少し、頑張れそう?」


利用者夫婦から

「木下が、「正直に生きる事と、本音を話す事は違う…」
 と教えてくれた。なるほど、そうだと思った。
 本当は、怖い。すごく怖いんだ。
 でも、ココに居たい。
 それだけは譲りたくない。」

私は、意外だった。
正直と本音とは、それこそ私はこの利用者夫婦から教わったと思っている。


プロとして、いつか判断しなくてはならない時が来るだろうと
そう遠くなく、その時が来るだろうと覚悟しながら
実は、もう6年目になる。

もう少し、要介護者2人暮らしは継続できそうだと私は思っている。





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posted by 木下 小櫻 at 16:12 | Comment(0) | ケアマネジメント

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